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「劇場版 ユンカース・カム・ヒア」

: 5.0

2020-10-02, 2020-08-24

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人と会話できるミニチュア・シュナウザーのユンカースが、飼い主のひろみ(小学六年生)の願い叶えて奇跡を起こす現代ファンタジー作品。もしシュナウザーが喋ったら、を体験できるジブリを超える傑作です。

あらすじ

劇場版 ユンカース・カム・ヒア
出典: 劇場版 ユンカース・カム・ヒア劇場版

両親が多忙で家を空けがちで少し寂しい小学六年生のひろみは、想いを寄せている同居中の家庭教師と人間の言葉を話すミニチュア・シュナウザーのユンカースと暮らしていた。しかしある日、ひろみは、その家庭教師に恋人がいることを知り、さらに両親から離婚話を告げられ、大きく心を揺さぶられていた。そんなひろみを助けるため、ユンカースは3回だけ奇跡を起こすと言う。クリスマスの季節に届けられる心温まるお話しです。

感想

ミニチュア・シュナウザー好きが歓喜できるアニメです。この作品の主役は、ひろみではなく、ユンカースです。冒頭からひろみではなくユンカースが登場し、シュナウザー独特の愛くるしい動作がみられます。しかも、人語を解するユンカースは、人間の文化も理解しており、(シュナウザーの動きの制約の範囲で)人間らしい振る舞いもします。なんと、公衆トイレの便器でおしっこをして、流すボタンを押すこともできます。

トイレでおしっこをするユンカース
出典: 劇場版 ユンカース・カム・ヒア

この作品は、ひろみを中心としたストーリーも非常に素晴らしいのですが、あらゆる場面でユンカースに惹きつけられるアニメです。完全にひろみを差し置いて主役の座を奪っています。ひろみと並んで、布団で寝そべる姿もキュートです(前足は前方に突き出すと思うけど)。製作者のユンカースへの愛が伝わってきます。なお、ユンカースは、小室哲哉さんの飼い犬のミニチュア・シュナウザー(ユンカースという名前)がモデルになっています。

ひろみとユンカース
出典: 劇場版 ユンカース・カム・ヒア

さて、本来の主人公のひろみに焦点を当てると、こどもから大人になりたいと考えている女の子をうまく描けています。両親が留守がちで本当は寂しいけど我慢して気遣いを見せたり、年の離れた家庭教師に大人と認めてほしくて拗ねたりします。大切なことは、本来なら言葉として表に出てこないそれらひろみの感情が、ひろみの話し相手であるシュナウザーのユンカースには語られるということです(シュナウザーは人間の良きパートナーなので当然のことです)。そのようにして、アニメを見ている我々の側でも、ひろみの感情が自然と正確に理解できるのです。

ひろみとユンカース
出典: 劇場版 ユンカース・カム・ヒア

ストーリー後半では、ひろみの失恋と両親の離婚話で、ひろみは大きな衝撃を受けます。ひろみにとっては重すぎることが立て続けに起きるのです。特に、両親の離婚話は小学六年生には受け止めきれるものではありません。しかし、いい子であろうとするひろみは、両親が決めたことだから納得しなければいけないと自分に言い聞かせます。しかし、本音は離婚してほしくない、と言いたいのです。

そこで、ユンカースの出番です。ユンカースは奇跡を起こし、少しだけひろみの願いを叶える手助けをします。作画が素晴らしい犬と空を飛ぶシーンもあり、ここで一気にストーリーが盛り上がります。とても出来の良いジブリ作品を鑑賞しているかのような気分になれます。実際にひろみが願いを叶えられたかについては、ネタバレになるので書けませんが、上手く着地した結末になっています。

空を飛ぶひろみとユンカース
出典: 劇場版 ユンカース・カム・ヒア

上手くまとまった後の余韻の残るラストは本当に素晴らしいです。冒頭とラストに同じユンカースのトイレシーンが登場して、あることが仄めかされます。冒頭のシーンが伏線だったと最後に気付くのです。

良質なストーリーや作画の他に、挿入歌(ホントの君 ウソの君)やエンディング歌(Winter comes aroud)も素晴らしいアニメです。たとえ犬派でない方であっても、きっと満足できると思います。もちろんシュナウザー派なら見ておくべき傑作アニメーションです(最初から最後までシュナウザー尽くしです)。

より詳細な情報や他の方の感想をご覧になりたい方は、以下を参照ください。

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